■カフェ
(SE)敬一郎、行きつけのカフェに入り、カウンターに座る。
敬一郎「ブレンド下さい。」
(SE)カフェのマスターに新しいバイトの子を紹介される。
敬一郎「へぇー、新しい子入れたんだ。ここの常連なので、よろしく。」
(SE)彼女、敬一郎の顔を見て驚く。(何か物を落とす)
敬一郎(M)『なんだ?この子、人の顔みて硬直したぞ……。』
彼女「お兄ちゃん……!」
敬一郎「ハァ!?お兄ちゃん!?」
彼女「○市に昔住んでいませんでしたか?」
敬一郎「確かに昔その街には住んでいたが……。」
敬一郎(M)『その頃、妹のようにかわいがっていた女の子がいたな……。』
(SE)敬一郎、彼女の事を思い出す。
敬一郎「お前か! 大きくなったなぁ……。すまん、全然分からなかった。元気にしてたか?」
敬一郎(M)『もう十年以上経つのか……。あの女の子がすっかり大人に……。
時間が経つのは早いものだ……。』
(SE)敬一郎、時間を確認する。
敬一郎「おっと……っ。ゆっくり話をしたいんだが、仕事があってな……。また来るよ。」
(SE)敬一郎、お金を置いて席を立ち、店を出る。
■店の外
(SE)敬一郎が店を出たところへ、彼女が追いかけてくる。
彼女「今度おにいちゃんの家に遊びに行ってもいい?」
敬一郎「家に遊びに来るのはいいが……。仕事が忙しくてお前と遊んでる暇なんかないぞ」
彼女「いい!それでも行きたい!」とネクタイを引っ張る。
敬一郎「わかった!分かったから、ネクタイを引っ張るな!
(振り切って)ったく、子どもか、お前は……。時間ができたら連絡するから……。携帯は?」
(SE)お互い携帯を出し、連絡先を通信する。
彼女、「絶対だよ!」と念を押す。
(SE)敬一郎、彼女に昔の面影を思い出し、頭をなでながら、
敬一郎「よしよし。時間は作ってやる。約束するから……」
(SE)彼女、嬉しそうに笑う。
敬一郎(M)『そういえば、子どもの頃も、オレが頭をなでてやると、
とたんに機嫌が良くなってたな……。(微笑)変わってないな』
■敬一郎の部屋
敬一郎「お前、しょっちゅう、家に遊びに来ているが、ちゃんと勉強しているんだろうな?
大学の友達とも付き合いも大事にしないとダメだぞ。」
(SE)彼女、はあいまいに返答
敬一郎「(若干躊躇して)大体、お前……彼氏、とかいないのか?」
彼女「いないよ」
敬一郎「(安堵して)いないのか……。」
敬一郎(M)『何ホッとしているんだ、オレは……。まぁ、兄的な立場としては心配ではあるが……。』
敬一郎「さて、そろそろ送っていくから、支度を……。」
彼女「今日は帰らないから!」
敬一郎「はぁ? 今日は帰らない? それはいくらなんでも……。」
彼女「女として見て貰ってないのは分かってる、けど、私はずっとおにいちゃんが好きだったの!」
敬一郎「(動揺して)そんな、いきなり好きだったとか告白されても……。
妹のようにかわいがってきたお前を彼女として見るのは……。無理だ。すまん。」
■カフェ
(SE)敬一郎、行きつけのカフェに入り、カウンターに座る。
敬一郎「マスター、いつものブレンドをアイスで。……今日あいつ休み?」
(SE)店長「彼女、君の事諦めて、前から誘われてた、大学の先輩とデートだってさ。」
敬一郎「大学の先輩とデート……。(動揺を隠しつつ)いいんじゃないですか?」
敬一郎(M)『最近は、あれだけ毎日来ていたメールも全然来なくなったし、遊びにも来ないし……。
まぁ、アイツにとってはいい事、だよな……。オレは、あくまで、兄的な立場で心配なだけで……!』
■自宅マンション前
(SE)敬一郎の自宅マンション前に彼女が待っている。
敬一郎「(驚き)どうした?お前今日はデートじゃなかったのか?」
(SE)彼女「デートはしたが、やはり敬一郎が好き。あきらめられない。」と泣き出す。
敬一郎「あきらめられないって……。そんな風に泣かれると、オレも、つらい……。」
(SE)敬一郎、ハンカチを出して涙を拭いてやる。
敬一郎(M)『オレが泣かせているのか……。胸が痛い……。妹のようにかわいい、から……。
だけじゃ、ないな……。』
(SE)敬一郎、彼女にキスをする。(キス音お願いします。)
(SE)彼女、びっくりして泣き止む。
敬一郎「(優しく笑って)泣き止んだな。」
敬一郎「お前からメールが来なくなって、オレも寂しかった。他の男と会ってるって聞いて、
イライラした。心配してるだけだと言い聞かせたが、違う。」
(SE)敬一郎、彼女を抱きしめる。
敬一郎「オレもお前が好きだ。他の男にお前を渡したくない。」
(SE)敬一郎、耳元で
敬一郎「オレの彼女になったという事は、妹扱いは終わりだ。
大人の女性としてオレと付き合ってもらうからな? 覚悟しておけよ?」