■【都内の一流ホテルのロビー】
(SE)2人、お店の前で受付をするが、先輩が人の多さにやめようと言い出す。
侑「え? 並ぶの嫌だからケーキバイキングやっぱりやめる!? ここまで来て何言ってるんですか!」
先輩「私、そんなに甘いもの好きじゃないし……」
侑「先輩が甘いもの好きじゃないっていうのは知ってますけど、ここのは全然違いますから! 本当にすっごいおいしいんです! 甘いものが食べたくないならサンドイッチもあるし、コーヒーや紅茶だってクオリティ高いし、給仕のレベルもハンパないですから!」
先輩「うーん……」
侑「もう、往生際が悪いですよ、先輩らしくない! だったら、取材だと思って付き合って下さい! 一流ホテルの取材!」
●時間経過(1時間くらい)
(SE)2人、店の中に案内され、席に着く。
侑「ここは時間制限もないし、何よりこの庭園! すごいでしょ!?都内で1万坪の庭園を見ながらお茶できるなんてすっごく贅沢だと思いませんか?」
先輩「うん! すごいね。」
侑「よかった。……編集の仕事って慌しいじゃないですか。先輩仕事頑張っちゃうし。そういう頑張ってる先輩、オレ好きなんですけど、やっぱり、たまにはゆったりした気分になって欲しいんです。……(照れ)後輩じゃなくて……彼氏として。」
先輩「ありがとう。」
侑 「(微笑)……さて! じゃあ、オレはお目当てのケーキを取ってきますから、先輩も好きなもの取って来て食べてくださいね。」
(SE)侑、席を立つ。
(SE)侑、持ってきたケーキを夢中で食べる。
侑「うひゃあ!このチーズケーキめちゃくちゃ美味い! 甘すぎず、かといってさっぱり過ぎず、絶妙!(別の皿のケーキを食べる)んー! このタルトのサクサク感もたまらない! もう、他にもたくさん食べたいものありすぎて幸せすぎる!」
先輩「…………。」
●時間経過
侑「はー……さすがにもう食べられない……。」
先輩「(呆れ)食べすぎでしょ……。」
侑「え? 食べ過ぎ? そんなことないでしょ。」
先輩「(呆れ)……。」
侑「何ですか、その冷たい視線は……。人がせっかく幸せに浸ってるんですから、水差さないでないでください!」
先輩「私をゆっくりさせる為に連れてきたって言ったじゃない。」
侑「ゆっくりお茶できたでしょ? オレは美味しいケーキがたくさん食べられてウインウイン
じゃないですか! 素敵なデートプランに感謝してもらいたいです。」
先輩「口直しにラーメン食べに行きたい。」と、席を立つ。
侑「口直しにラーメンって……! おっさんですか!? こんな美味しいケーキに口直しなんて
必要ないです! ちょっと! 先輩! 勝手にお店出ようとしないで! お腹いっぱいで
動けないんですってば!せんぱーい!」